「科学日本語・英語」の すすめ(2) おもてなし
「おもてなし」は心のこもった待遇。顧客に対して心をこめて歓待や接待やサービスをすること。
「おもてなし」と「そんたく」は共に「相手の心を推測して相手の意向に沿って行動する」という意味を持ちます。
Updated Date : 2017-04-15 14:52:29
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2013年(平成25年)9月7日に、国際オリンピック委員会の第125次IOC総会で、滝川クリステルが「おもてなし」と発言したことから、この言葉が世界に広まった
心のこもった待遇。顧客に対して心をこめて歓待や接待やサービスをすること
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「おもてなし」は「表裏がない。モノを以て成し遂げる」からきたとされ、基本的に相手の心を察して、相手が喜ぶことをしますね。相手のいやがることはしません。東日本大震災の時、世界中から称賛された日本の絆(きずな)社会は、このような心の察し合いによって結びついている面があるのです。
しかし、このような心情は「忖度」のように強者や多数におもねるという社会現象にもつながります。
忖度は日本だけに見られるものではありません。中国最古の詩集「詩経」に「他人心有らば、予之を忖度す」という一文があります。東アジアでは2000年以上もそんたくの歴史が続いてきたことになりますが、国によって違いがありそうです。
また、最新の「心の理論: Theory of Mind(ToM)」では、他者の心の状態、目的、意図、知識、信念、志向、疑念などを推測する心の機能は、ヒトや類人猿にみられ、人間の場合、4歳から発達すると考えられています。
しかしながら、過度に「心を読み合う」社会には利点ばかりではなく、欠点もありそうです。
「心を読み合う」社会の利点と欠点
1.他人、特に弱者への共感や思いやりが社会の連帯感を高める
2.推測した相手の心は相手の本心とは異なることがある
3.推測が重なることによって、思いがけない方向に社会が進んでいくことがある
4.責任の所在がわからなくなる
5.強者・権力者の意向が通りやすい社会になる
東日本大震災のあと、世界中から日本人に対する称賛の声が寄せられました。しかし、同時に日本の政府・関係機関からの情報発信に関しては信頼できないと国内外から厳しい非難の声が高まりました。これは「人との関係性」や状況を重視してFACT(事実)を脚色してしまう日本人の言葉の用い方によると考えられます。
グローバルな世界へ事実をそのまま伝える「科学日本語」の必要性
「人との関係性」や状況を重視するこれまでの日本語はコミュニケーションを重視した言葉です。一方で、それはFACT(事実)を脚色してしまうため、考えをまとめ思考を発展させるためのevidence(証拠)としての基盤が弱くなります。
また、日本語は状況や背景理解で省略されることが多く、外国人には理解しにくい面があります。
そこで、情報としてのFACT(事実)を脚色しないでそのまま伝える日本語が必要となります。
科学学術研究分野で用いられる「科学日本語」は、コミュニケーションのための脚色がなく、状況や背景知識にも左右されず、英語との親和性も高いのでグローバルな世界への発信としても有効だと考えられます。
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